オーディオドラマ

題名
「DQ」(NHK・FM、FMシアター)
放映
1992.7.4(土) 22:00〜22:50

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『DQ』シナリオ原稿 無抵抗主義さまより転載を許可していただきました 2001.3.16



感想 きたさまより感想を戴きました

『DQ』を聴きました。

 冒頭で出演者名がよまれ、「中尾さんはどんな役? これが中尾さんだ、って分かるかな?」などと思って聴いていましたが、あの声が流れてきた途端、すぐに分かりました。透明感が格段に違いました。

 "三月さん"の話を聴くために、"パンク"するかもしれないのに電話をかけてしまう面々。そんな、いわば異常な状況をすんなり納得させてしまう声、と思いました。本当に、あのような秘密のグループが結成されているんじゃないかと考えてしまいます。

 中尾さんの声。深夜、横になって聴いていたのですが、不思議な気分になりました。巧く言えないのですが、あの声にずっと浸っていたい気分でした。

 この作品を聴いて、以前NHKで放送されたドラマをちょっと思い出しました。タイトルも内容も忘れてしまったのですが、不眠症の男が、「羊が一匹  羊が二匹・・・」と千匹(一万匹だったかも)まで数え、最後に「おやすみなさい」と言うだけのラジオ番組を知る、という話でした。その羊を数える女性 は、中嶋朋子だったような気がします。声に惹かれる、という点から、このドラマをひょっと思い出したようです。

 オーディオドラマと言えば、某友人は大江健三郎の『死者の奢り』を聴いたことがあるそうです。それに出てくる女子学生の声が岸田今日子さんだった らしく、とても迫力があった、と言ってました。オーディオドラマのことを考えるとき、いつもこの作品が気になってます。一度聴いてみたい、岸田今日子さん の「ペイは貰うわよ」という台詞...。

 他の作品も早く聴きたい思いでいっぱいです。 では、失礼します。


解説

(1992.7.1朝日新聞・夕刊「スイッチ・オン」フリーライター・山家誠一)
四日(土)のNHK・FM「FMシアター」(夜10・00)は、高岸優子・作、角岡正美・演出「DQ」を放送する。出演は中尾幸世=写真=ほか。
兄が失踪した。兄を捜す弟は、兄のアパートの留守番電話に奇妙な“会話”を発見する。 「三月さん」と呼ばれる女性が取りとめのない物語を語り、参加者がそれを聞くというダイアルQ2のパーティーラインの録音だった。 電話のコミュニケーションには、面と向かった時に感じる圧迫感や、ある種の距離感がなく、相手の言葉を直接自分の中に感じられるリアリティーがある。 どこに居るか分からない三月さんの瞬時に消えていくただ言葉だけの存在を追って、兄はラインをさかのぼることを試みたらしい。
このドラマ、役者の声と音楽がいい。特に中尾の耳元でささやくような、主張するのではなく、逆に後ろにひくようなその声質による語りは、パーティーライン参加者のみならず リスナーもじっと耳を傾けていたいような気にさせる。
「言葉の音の響きというものには、耳に入るんですけど、もっともっと中に入り込んでいくような不思議な感覚がある。魂まですーっと触っていくような。最終的には病める魂を 包み込むような、そういう響きを人間の声は出すことができるだろうと思うんです」と、言葉のパーフォーマンスも試みている中尾は言う。
ラジオにおける「声質」の重要性を改めて考えた。

出演

中尾幸世 [物語をする少女(三月さん)]
倉崎青児 [犬川英次]
火田詮子 [城戸助手]
藤尾年樹 [常連]
宮島千栄ほか

高岸優子

演出

角岡正美

スタッフ

上野節雄 技術
滝川雅己 音響効果
松本守正 制作

受賞等

第30回ギャラクシー賞(放送批評懇談会)



Last Update 2007.04.06