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1982.5.9 「サンデー毎日」(P124~)才媛スターの創作劇場 第二十回 「ウィンド・オー」
才媛スターの創作劇場 第20回 Wind OH 1982.5.9 「サンデー毎日」 (P124~)
葵は腹巻きをお腹の方にまわしてチャックを手でさぐり100㌦紙幣を一枚取り出すと、管理室のブザーをならし「アオイ」と言った。
昨日まで秋だった。昨晩、急に風が吹いた。今朝、風と風がぶつかり合う音で目を覚ました
その時、店の片隅にある、旧式の足踏みオルガンを弾こうとしていた男がこちらを振り向いた男はオルガンのキーを押した。
澄んだ音色が店にひびいた。
ニューヨークでの葵の二ヶ月の目的は、アートスクールで四時間、ダンスファクトリーで四時間、目いっぱいに体と頭を使って自分の街を走って生活することだった。
こわされた火災報知機を調べにファィアーマンが柱に近づく後ろ姿をねらってピストルやライフルで、射撃する。その90%はいたずらによる、とニューヨークタイムズに出ていた。
アイリーンと葵は、アイリッシュハーブを、アパートの部屋に運んだ。部屋の中央の電気コタツを脇に移して、アイリッシュハーブを置いた。アイリーンは、アイリッシュハーブの埃を払い銅の弦を一本はじいた。
古い時計のような音がした。
Edited on: Thursday, July 02, 2009 10:29 PM
Categories: エッセイ
Thursday, July 02, 2009